不動産の所有者が亡くなると相続登記を申請しますが、登記の申請をする際は原則として登録免許税という税金を納めなければなりません。この税額は不動産の固定資産税評価額により変動しますが、計算式は一律で、評価額に0.4%を乗じた金額です。例えば100万円の評価額の土地は4,000円が登録免許税です。なお、評価額が低い不動産の場合は計算の結果、1,000円を下回るときは1,000円が登録免許税になります。
税制改正で登録免許税が免除?!
しかし、税制改正により、土地について令和7年3月31日までに相続(遺贈を含む。)による所有権移転登記又は所有権保存登記を申請する場合、評価額が100万円以下であれば免税を受けられることになりました。宅地で100万円以下の土地はなかなかありませんが、山林や畑等は100万円以下のケースが多くあります。また、土地をたくさん持っている人にとってはこの制度によって従来の登録免許税よりも数万円の負担が軽減されることもあると思われます。
相続登記の申請推進が目的?!
趣旨としては、相続登記は現時点では義務ではないため、登録免許税を納めたくないことで相続登記をしないケースが散見されることから、相続登記の申請を推進することが目的となります。相続登記をしないと当事者や必要な書類が増えて所有者不明になりかねません。そうすると、何らかの土地の処分の際に手続きが進まなくなる恐れがあります。また、令和6年4月1日からは相続登記が義務化されるため、相続人間で遺産分割方法が確定したら早めに相続登記を申請することをおすすめします。なお、当該免税の適用を受けるには、登記の申請書に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する必要があるので注意しましょう。