遺言の作成を考えている方であれば、一度は「遺言執行者」というワードを耳にしたことがあるかと思います。では、遺言執行者がどのような存在なのかを具体的にみていきたいと思います。
遺言執行者の役割
遺言執行者は遺言の内容を実現する、つまり遺言に記載されている通りに財産の移転手続きを行う役割を担います。「甲土地はAに相続させ、乙銀行の預金はBに相続させる」といった遺言の内容でしたら、まさにその遺言の内容通りに「法務局で甲土地の名義をAへ、乙銀行で預金をBの口座へ振込む」手続きを行います。また、遺言執行者には「遺言の内容を伝え(遺言書のコピーなどを送付)、遺言者の財産目録を作成し、相続人に送付する」という役割もあります。これにより相続人達へ「どのような遺言があり、どのような財産があるのか」を伝えることになります。
遺言執行者の選任方法
遺言書に記載する方法と、遺言者の死後に家庭裁判所で選任する方法があります。もっとも円滑に選任できる方法は遺言書にあらかじめ遺言執行者を記載しておくことです。遺言に記載されていれば特に別途家庭裁判所に申し立てる必要が無いからです。
遺言執行者には誰が就任できるのか
未成年と破産者以外は特に制限はありません。相続人でも選任できます。当事務所が就任する事も可能です。
遺言執行者が相続手続きを行うのに必要な書類
遺言執行者は、遺言に記載されている財産の移転・承継手続きに関しては単独で手続きができます。公正証書遺言又は裁判所の検認を受けた遺言書、亡くなった遺言者の戸籍謄本、相続人の戸籍謄本などです。通常の相続手続きのように、亡くなった方の戸籍を死亡から出生まで遡って取得する必要は、原則としてありません(清算型遺言を除く)。また印鑑証明書は遺言執行者のもののみで、遺産分割協議書のように相続人全員の印鑑証明書は必要ありません。