代表取締役が亡くなった場合、会社の登記をどうすれば良いのかというご相談は少なくありません。今回は、一人取締役で全株式を保有していた場合の対処法を詳しく説明します。
商業登記は、任意の変更事項が発生した際には、原則として2週間以内に変更登記を行う必要があります。取締役の死亡も例外ではなく、この2週間の期限を守らないと過料を課せられる可能性があります。
先述の事例では、まずは株主である代表取締役の相続人で誰が株式を承継するかを決める必要があります。これは、会社の重要な決定は株主総会によって行われるためです。株主が決定した後、株主総会では会社の継続か清算かを決めます。会社を継続する場合は後任の取締役を選任して、取締役及び代表取締役の死亡による退任登記と就任登記を申請します。その際には会社の実印を新たな代表取締役が登録しましょう。従来の印章をそのまま引き継ぐことも可能です。
一方、清算を選択した場合、解散登記と清算人選任登記を行い、清算の手続きに進みます。その後、債権者保護手続として、解散した旨を官報に公告して知れている債権者には催告します。さらに、解散から2か月以内に確定申告を行う必要があります。公告と通知から2か月が経過したら、会社の残存資産の分配などを行い、株主総会で決算の承認を得ます。そして、清算結了の登記を申請して完了すれば清算の手続きが終了します。
このように、代表取締役が亡くなると検討事項が多くて複雑なため、まずは司法書士等の専門家に相談されることをおすすめします。