相続人申告登記とは

ペナルティー10万円?!

現在日本では所有者不明土地といって、不動産の登記名義人が亡くなってから数十年単位の時間が経過しても相続による不動産の名義変更が行われず、ほぼ放置されている不動産が全国に膨大にあることが問題となっております。この問題の対策のため政府は相続による名義変更を法律によって義務化をすることを決定しました。2024年に施行される予定です。その具体的な内容ですが相続で不動産を取得した事を知った日から3年以内に相続による名義変更手続きを行わないと義務違反のペナルティーとして10万円以下の過料の対象となります。

もっとも相続登記を行うには最低条件として、亡くなった登記上の所有者の死亡から子供時代の戸籍及び現在生存している相続人全員の戸籍を取得して提出する必要があります。前述したとおり何十年も長期間放置されていた場合は相続人の数が10名を超えているのが通常です。その戸籍を全て集めるのは容易ではありません。また相続人の遺産分割の方法がまとまらない場合も登記を行うことができません。(※法定相続分通りであれば相続人の1人からでも登記ができますが、また別の機会にお話をさせていただきます)

救済手段の「相続人申告登記」

上記のような状態で名義変更ができないにも関わらず過料が科されてしまうのは少々酷な気もします。そこで救済手段として相続登記の義務化と並行して相続人申告登記という制度が導入されることとなりました。相続人申告登記とは不動産所有者の相続人であることを登記するという制度です。この登記では集めなければならない戸籍の数を大幅に減らすことができます。亡くなった所有者の死亡記載のある除籍と、所有者の相続人であることがわかる戸籍及び住民票です。この登記を相続があったことを知った時から3年以内に行えば10万円の過料を支払わずにすむのです。

相続人申告登記の特徴

この登記は権利関係に変動をもたらす効果は一切ありません。登記上の所有者が亡くなっていることと、相続人申告登記の申し出をした人が相続人であるということを登記上判明できるというだけです。不動産の売却などは行えないので注意が必要です。

2024年から3年のカウントダウン

相続登記の義務化が施行されると、すでに相続によって不動産を取得した事を知って3年経過している人も過料の対象となるといわれています。ただし、2024年に施行された瞬間に過料の対象となるわけではなく、相続登記の義務化が施行された2024年から3年のカウントダウンが開始されることとなるようです。これまでは相続による名義変更は義務ではありませんでした。しかし2024年以降は義務化されます。時間が経過すればするほど相続人の数が増えて相続登記が困難となります。お早めのご対応をすることをおすすめします。

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