年々増える空き家
現在、日本では人口減少等により空き家が深刻な問題になっています。国内の住宅総数のうち、空き家の割合は13.6%、戸数は846万戸(2018年10月時点)と年々その数は増えています。
住む予定がないから相続放棄
家の所有者が死亡すると相続をすることになりますが、相続人がこの家に住む予定がない場合、相続放棄を選択される方は少なくありません。相続放棄をすると、被相続人の財産を承継せず、相続人の立場ではなくなりますから、相続の問題が解決したかのようにみえます。しかし、注意しなければならないことがあります。
相続放棄をしても管理責任が残る?
相続放棄をすれば相続人ではなくなるため、相続財産の管理義務も消失するようにみえます。実際、他に所有権を取得する相続人がいれば、相続放棄した人は相続財産の管理義務から免れます。しかし、相続人全員が相続放棄をした場合は別です。相続放棄をした人にも民法940条(相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。)を根拠に、その責任が残ってしまいます。
空き家が倒壊すると損害賠償?!
空き家が倒壊して通行人に怪我をさせてしまった場合、相続放棄をしたにもかかわらず管理責任を問われ、損害賠償を請求される可能性があります。
家庭裁判所に申立てをして、相続財産管理人が選任されることで責任を回避できますが、相続財産管理人への報酬が発生し、その額は数十万円以上になることもあります。
相続財産管理人の業務は、被相続人の財産をすべて処分するまで完了しませんので、不動産が処分できない状態が続くとその間の報酬もかさみ、相続して自分で管理した方が負担が少なく済むことも考えられます。
空き家については、どの方法が適切なのか人によって異なるため、相続人にとって非常に悩ましい問題です。困ってしまったときは専門家に相談すると、あなたに合った方法を探してくれるはずです。