父が亡くなった後、相続手続きを行う前に母も亡くなってしまったという相談が時々ございます。相続が発生すると、相続人の特定が必要になるため、出生から死亡に至るまでの全ての戸籍関係書類を収集することになります。この場合、父の戸籍に加え、母の出生から婚姻に至るまでの戸籍も収集する必要があります。戸籍収集の結果、母に父と異なる子がいることが判明した場合、その子も相続人となります。
もし母が存命中に遺産分割協議を行っていた場合は、その内容に基づいて手続きを進めることが可能です。しかし、遺産分割協議を行う前に母が亡くなった場合、どのように進めるべきでしょうか。母以外の父の相続人が複数いる場合は、母の相続人を兼ねて遺産分割協議をすることができるため、不動産登記が父の名義であれば、両親の相続について記載した遺産分割協議書を作成することで、特定の子に直接相続登記をすることができます。しかし、子が一人だった場合は先例により一人遺産分割協議が認められないため、亡母と子の2分の1ずつの相続登記を経た上で、亡母の持分を子に相続させる2段階の登記申請をする必要があります。
また、亡くなった母名義の土地の相続登記については、租税特別措置法により非課税となっています。
※令和7年(2025年)3月31日まで
このように、数次相続の場合(父が亡くなった後に母も亡くなるケースなど)、相続人が増えると遺産分割協議書の記載方法が複雑になる可能性があります。そのため、最初の相続時に遺産分割協議が成立した場合は、なるべく早めに相続手続きを行うことをお勧めします。